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またぞろ赤目の朝を迎えてむむむむ!なれど取りあえず赤目以外は変わりなく腹も減りおり。 雨空を見上げながら嘆息し口を濯ぎ歯を磨き面など洗うなり。 さてと思い起こせば昨日昼過ぎに草加宿を歩きつつ、草加煎餅製造直売なる店を覗き女将としばし語らいたり。堅さ三段階にて米の使い量異なれば堅きモノほど米多く値も高きとのこと。なるほどと得心せり。 使う米も「事故米」などではありませぬ。埼玉県産米やら、越後こしひかりなど数種ありと自慢げに語れり、されば一枚五十文も高からずとおもふなり。 されど味わい気になりて、試食はござらぬかと問えば「ありませぬ!」と剣もほろろ。ではいずれまたとて本日は辞するなり。 草加宿駅より箱電駕籠にて巣鴨宿に向かうなり。一昨日探しあぐねた革登山靴をば手縫いにて製造販売せし「五郎」なる職人店を訪れたり。 店先に無骨な親父おりて山靴を求めんと欲すなりと問わば、「二階に取り揃えたり」と客あしらいもその面同様無骨なり。 さて二階に上がりて眺むれば靴各種棚に並び優しげな職人一人靴作りおり。 これこれしかじかにて山靴求めの旅の者なればいかがか?と問うなり。 されば既成の靴にて合えばよろしく、合わねば誂え注文も承る。 寸法で合わせ試着(?)して様子を見、あれこれの問いに具合を述べたり。 されば靴を脱ぎて素足の寸法、形状、爪の生え方など調べつつ、特段特殊な足ではなく既成の靴にても問題なしとの足診断なり。 しかしながら土踏まずの指寄り部に靴履きたる時の違和感ありと述べれば、職人答えていわく「女子に多き外反母趾に似た症状にて、靴ひもをしっかりと締めぬ履き方をすれば足歪みて爪先歩きした結果なり」「しっかりとした履き方にて改善の見込みあり」「内履きにての調整方法も可能なり」との教えに、それがしも納得、得心の至りなり。 履きて来たれあたるわが靴を見て、そのようなだらしなき靴ひもの締め方にてはよろしからず、しっかりと締めることを勧められ赤面の至りなり。 寸法の一段上の物をば再び試着し、靴ひもをしっかりと締め「これなればいかがか?」と再び問われたり。前よりもよろしければ、これにすべしと決断したり。 職人さらにわが足の癖つきたる踵などの形に合わせて大きなやっとこ様の工具にて靴の形を整形せしめたり。 さればこれにて試着せよ、いかがか?よろしき具合なれば、されば購うこととせり。 靴の手入れ、履きならしなど詳しく聞くことしばし、支払いを済ませ背嚢に納めて店を出でたり。 さて、少しばかり宴の刻に余裕あれば、評判高き巣鴨のとげ抜き地蔵、爺婆の原宿と呼ばれたる地蔵通り商店街に足を進めたり。雨模様なれば爺婆の数少なくもやむなく、閑散とした店通りを散策し名物赤褌もいとおかしく穿きたる爺婆の姿を想いて苦笑す。 地蔵院に手を合わせ旅の無事を祈り巣鴨宿を離れたり。 刻限に新橋宿の飲み屋に入りて、城勤めせしおりの後輩らと深く深く懇親激飲なり。 思い出すのも気持ち悪しければ、これにて旅日記を閉じるなり。
by yuritora1
| 2008-11-28 11:19
| 日記
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