黒蝶の舞いつつ夏日に消え去りぬ 百百合(mango)
雨上がりの朝に椿の葉が濡れている
あの日もどこかで雨が上がっていたのだろうか
終戦 終わった
敗戦 負けた
使いたくない言葉を外国語(漢語)に置き換えて痛みを和らげるという行いを
日本人は器用に使い続けている
こころに痛みをおぼえる言の葉は真胸に隠して語ろうとはしない
すなおに若い命をはらからのために捧げた多くの若者たち
あなたたちのその想いをしっかりと受け止めて
その魂の行方が安らかであれと祈ることをせめてこの日は
国の姿はまつりごと
かたちなき政のありように怒りもするが
愚かなる、愚かなる、ものどもが語る「追悼」にこころはあるか
民草のまことなる死や夏すぎぬ 百百合(mango)